Chapter 01
【松浦町】江戸時代の土木遺産「馬ノ頭水利施設」
伊万里市松浦町桃川。
上流からの水路を下流の川底を通して5mほど高台にある農地へ水をくみ上げる。
「馬ノ頭水利施設(うまんがしらすいりしせつ)」
上の画像は川が下にあるのに、水路に水が湧き出て手前に流れている不思議な光景です。
機械的な動力で水を汲み上げるのではなくサイフォン式という自然の原理を使って汲み上げ桃川地区の田畑を潤している。
江戸時代の慶長16年(1611年)に鍋島藩家老の成富兵庫茂安によって築造。
昭和3年にコンクリート管に変わるまで木製の桶樋を使っていたらしい。
桶樋が水漏れを起すたびに付け替えられ大変な苦労だったと察する。
現地へ行くと、川へ向かって流れるのでは無く、目の前の松浦川とは逆の流れで滾々と湧き上がる光景は実に不思議な感覚。
そして約400年も続く変わらない風景。
文明の力に頼らなかった高い技術だからこそ、これから先も懇々と湧き上がる伊万里の美しい風景を潤し続ける。
松浦川が途絶えない限り。